臨床検査技師養成科1期生 三浦芳典さん

臨床検査技師養成科1期生 三浦芳典さん 北里大学保健衛生専門学院で医療の礎を学び始めてから、2015年4月を迎えると実に34年の時を医療に費やしてきました。その間、時代背景と共に医療も大きく変革を求められてきました。我々の若き時代(学生時代を含め)は、精神論的な教育も多分にある時代でしたが、現在はその様な事だけでは済まされない時代になっております。

臨床実習でも患者さんに接する機会が増えており学生本人の体調管理を重視する環境下にあり、学生の体調不良が2次感染、3次感染に繋がる事が有り得る事も教育の一環として指導しているのが現況です。

我々の頃は、どのような状況下であろうとも臨床実習に行くのが当たり前でした。(笑) しかし、現在の医療情勢を考えると学生教育にしても大きく様変わりしています。

現在、私が主として取り組んでいることの1つとして診療支援業務があります。2013年12月に日本臨床衛生検査技師会が全国47都道府県から1名を選出し、『検査説明・相談ができる臨床検査技師を育成するための企画者育成講習会』が開催され、神奈川県からは私が選出され受講しました。

糖尿病療養指導における検査説明・相談

これは臨床検査技師に患者向けの臨床検査説明・相談実施に必要な知識及び技術を習得させ、加えて臨床検査技師のチーム医療参画の質的向上を図ることを目的としています。この制度は社会の中で臨床検査技師の存在価値・地位向上を高めるための絶好の機会であると確信をしております。

また、検査結果を報告している私達が関わることでより患者サービスの向上に繋げられると考えています。

この業態は、患者さんに検査説明・相談に関わる事が全国展開で開始されはじめた瞬間でもありました。

これらの取り組みは、私が勤務しております北里大学病院 臨床検査部では12年前から患者さんへ検査説明・相談を行ってきておりましたのでパイオニア的存在であると思っております。学祖 北里柴三郎先生の、「事を処してパイオニアたれ。人に交わって恩を思え。そして叡智をもって実学の人として、不撓不屈の精神を貫け。」と言うこの精神に徹する覚悟で日々、日常業務に就いております。

卒業生の皆様方もチーム医療への参画は各施設において様々に関わっている事でしょう。患者さんが普段、素朴に感じている疑問・質問を受けることは、より良い医療提供へのステップアップに繋がると考えております。

私は日本糖尿病療養指導士という資格のもとに、診療側に要望されたチーム医療に関わりました。そこではあらかじめ患者さんへ診察前に検査結果を説明することで、医師に対して自分の病態からどのように医師へアプローチするかを後ろ盾するものでした。

私達、臨床検査技師が得た情報を多職種に繋げ、日常のタイトな外来診療の待ち時間の中で患者さんに検査値の意義解釈を理解して戴くことは大変有意義であると考えています。少しでも患者さん側の気持ちを理解して、より良い医療を構築していければよいと感じています。

卒業生が勤務されている施設におかれましても、臨床検査技師以外の医療従事者が患者さんに検査結果を説明して、少しでも病態への理解を深めて戴く医療が行われている事に違いありません。

検査結果を報告している私達が少しでも患者さんへ寄り添う医療ができればこれほど喜ばしいことはありません。今後日本の医療の中で、一人でも多くの臨床検査技師が医療現場に関われるようになることを切に願います。また、臨床検査技師が活躍する場を展開する為にも卒業生である皆様方と共に頑張って行きたいと考えております。 (2015年3月寄稿)

三浦 芳典
臨床検査技師養成科1期生